私の振袖は、何人もの人が借りて着た。私たちの周りでは、わりに親類同士、友達同士で、帯や着物を貸しあったりする。これはいわゆる借着と違って、着た人間がわかっているので、気持ちがよい。私は借りられるとき、よく言われた。「あなたの幸せにあやかりたいと思って」。私のようにわがままで自分のしたいことがいっぱいある娘は、いつ飛び出してくるかと思ったら、案外無事におさまっている。ひとはそれで、きっと幸せな結婚生活を送っていると思ったのであろう。これが普通の借着だと、これを着たひとがついこの間離婚した、この前に借りたひとは病気で死んだなどで、何があったかわからないのである。私はとにかく、まず借着をやめて、振袖である必要もないし、普通のスーツでもよい。そのひとの持っている中で一番気に入った衣裳をつけての結婚式がのぞましいと思う。一九九三年六月の一つの新聞に「KDD」の調査による結婚費用の全国平均が出ていた。北海道が五百五十九万円、関東・甲信越が七百四十一万円、東北が七百四十九万円、中国・四国・九州が七百六十八万円、近畿が九百万円、東海が九百三十四万円。貸衣裳代、女は三十八万円、男は十一万円。ただただ溜息が出るばかり。自前の衣裳と披露宴の簡素化、引き出物を少なくすることなどで、もっと減らせるのではないか。例えば、ケーキカットやキャンドルサービスなど、あまりにも型通りで白けてしまう。新郎新婦が相手方の両親に花束を渡すのもあまりにも形式的。私は花より団子で、自分の飲む酒をもらった。少なくともこの費用の標準を半分にして、現金を貯金してもらいたい。銀行にたのまれたわけではないが、結婚してから、ああ、あんなに派手にすることはなかった、こんなときにお金を使いたかったと後悔するひとがきっとあるにちがいないと思う。